第17話・ラビット、唄を聞かせて

 前回までのあらすじ
 海ちゃんの大活躍で、買出しも無事に済んみ、いよいよ始まった兎小屋での鍋パーティ。ここでも、鍋の仕込みを一手に引き受ける海ちゃんだったが、そうこうする内に鍋も良い具合に仕上がってきて、食べ始める面々。
 さて、どんな鍋パーティになるのやら?本編の開始です!

 やはり、お腹の空いてるのか、5人とも鍋に夢中で箸を付けているが、海ちゃんだけは仕込みと掛け持っているので、鍋に集中できないでいた。
 そんな海ちゃんとは対照的に鍋に集中する兎がいた。そう、もちろんラビである!この時、買ってきた酒を飲み始めていたのだが、酒を飲ませてもラビが毎回、ビールを水のように飲むのだったが、今回に限っては本人曰く、 ラビ 「いや~、口内炎が出来てさ~!あんまり、酒飲めないんだよね。」
 と、言ってほとんどビールに手を付けないのであった。
 話は変わるが、以前の鍋パーティの席でラビのカラオケ伝説を終わらせるために、ラビをビールで酔っ払わせて誘い出すという策略を海ちゃんとみっつが立てたのだが、ラビの警戒(もしくは、兎としての野生の勘)が強くて、失敗に終わったことがあった。
 このラビのカラオケ伝説とは、一部の関係者の間では非常に有名なもので、その内容は至って単純で、ラビがカラオケ大嫌い人間だということだった。
 どの程度、嫌いなのかというと、ある時、ラビの所属する無線部の部室でデラッチ等がカラオケに行こう!と、盛り上がっていたら、いつの間にか行きたくないラビが部室から消えていたという事が何度もあったのだった。
 みっつのリサーチでは、ラビと最も一緒にいる玉ちゃんも、
 玉ちゃん 「ラビとカラオケ?行かないねー!多分、ラビは札幌に来てからは一度も行ってないと思うよー!」
 と、証言しており、どんな風に歌うのか興味をそそられるが、聞いた人がいないから、当然に不明なのである。なので、ラビを抜かした4人の意見としては、
 (いつか、必ず誘い出して歌わせる!!!)
 というのが通説であり、4人の間で秘密同盟が結ばれているのである。
 さて、話を鍋に戻すと、皆が空腹だったので自然と箸が進み、鍋奉行の海ちゃんはあまり食べる暇がなく、今も野菜を切るのに終始していた。
 みっつ 「う、海ちゃん!俺が代わるから少しは食べなよ~。」
 海ちゃん 「いえいえ、もう少しで終わるから僕がやりますよ~。みっつ君は座って食べてて下さいね~。エヘヘヘヘ」
 と言いながらも、豆腐を切っていた。その間も当然にラビは食べ続け、すでにご飯をおかわりをしてやがった!以前の鍋パーティの時も、ハイペースで食べ続け、充分に炊いていたはず(確か8合)なのに、炊き直し(3合)をさせた男である。それ以来は、鍋パーティーの時は10合近く炊いておくようにしていた。
 みっつ 「しかし、お前は本当に食うな~!」
 ラビ 「うるせ~!心が少年の俺は、今も成長期なんだよ~!」
 海ちゃん 「文字通り、穀潰しですね~。エヘヘヘヘ」
 再び3人が騒ぎ始めたのを、ひめは先ほどに増して冷めた目で見つめつつ、お決まりの
 ひめ 「また、3馬鹿が始めたよ~!」
 と、毒付いていた。マジで怖いよ~!一方、ひめとは対象的に玉ちゃんは相変わらずの奥ゆかしさで困ったような顔で笑っていた。やっぱ、かわいい!結婚して!!!(オイオイ・・・。)
 みっつ 「しかし、玉ちゃんも大変だよね~。こんな食べる事しか能の無い兎を飼育してると、大変でしょ?」
 玉ちゃん 「ほんと、そうだよー!いつも沢山食べるから、作る方は大変だよー!」
 みっつ 「おい!聞いたか、ラビ~。大変なんだってさ!」
 ラビ 「う~ん?なんの話だろうね~。」
 本当にヒドイ男である。やはり家事をろくに手伝いを全くしないという話は事実らしい。それに比べて、やはり玉ちゃんは天使である。目を凝らしてみると背中に白い羽が見えるかもしれない。
 玉ちゃん 「いつもラビにお昼ご飯として、おにぎりを作ってあげるんだけど、1個1合位で作っているからねー!」
 この玉ちゃんの発言にみっつや当人のラビまでが驚愕した。
 みっつ 「え!1合のおにぎりなの!」
 ラビ 「ま、マジ?そうだったの?どうやって作っているんだ?」
 玉ちゃん 「ご飯を思いっきり圧縮して作っているんだよー!」
 ラビ 「ど、どうりでボリュームがあるわけだよな~!」
 話を聞くとラビ家では、ご飯を沢山炊いていて、海ちゃん達と比較するとラビ家の夕食分が海野家の1日分+翌日の朝ごはん分と同じくらいだという!恐るべきは、ラビの食欲である!流石、千葉の珍獣!
 そんなこんなで、妙な盛り上がりを見せる鍋パーティだったが、みんな満腹になってきてしまい、自然と鍋はお開きの流れとなって行った。だが、ここからが本当のお楽しみタイムなのである。

 さて、いかがだったでしょうか?今回の話で出てくるラビとカラオケに行くという目標は今だ実現しておらず、これからも課題です。ネタとしては、最高給のモノなので在学中に実現させたいものです。
 次回は、鍋も食べ終わった後のお楽しみである皆でゲームをする模様を書きたいと思います。次回、第18話「ひめ、魔女となる!」にご期待下さい!

※この物語は事実を元に構成されたノンフィクションです。
           [総監督・原作・監修] 海ちゃん
           [脚本・シリーズ構成] みっつ


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